意地っ張りの涙(仮)
しゃがみこんで、今度は靴ひもをしっかりと括り直して立ち上がる。

「里緒菜も凌平も…夏目も先に行ってるし追いかけないと」

私は追い付くために早足で駆け出した。追い付いたら夏目に【ありがとう】と嫌な思いをさせたんだから【ごめんなさい】を伝えないと!


「なかなか皆に追い付けない……」

大分歩いたけど皆の影も形も見えやしない。結城先生の居るだろう中間地点に着いたのだろうか?下を見ながら歩いていると人影が見えた。

「……?」

すぐに顔を上げれば……そこに居たのは夏目だった。

「……なんで…いるの?」

呆然としながら問いかければ

「誰かさんは、目を離すと何するか判らないからな。距離を置いて待ってたんだ」

チラリと私を見ながら、何でもないように答えてくれた夏目に…何故か泣きたくなってしまった。

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