意地っ張りの涙(仮)
だけど仏頂面の夏目がボソリと

「ーー俺以外には素直なんだな。笑ってるし…」

なんだか拗ねたように言われて私は首を傾げる。

「何言ってるの?普通に話してただけじゃない」

冷やしながら夏目に返事をすれば

「そうか?俺にも普通にしてるか?」

そう聞かれて私は、一瞬、言葉に詰まってしまった。

「………普通にしてる…つもり……」

視線が自然と下がってしまう。それが“普通”ではないと告げているようなもので。

「まっ、まあまあ!話せるようになっただけいいじゃん!!なっ?」

フォローするように凌平が慌てて会話に交ざる。夏目の肩をバシバシと叩く。

「そうだけど……なんかな。気に入らないっつーか、何で““アイツ”に笑ってんだよ」

“アイツ”って誰だろうか?



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