意地っ張りの涙(仮)
全然わかんないんだけど?
「う~ん??」と考え込んでいる私に夏目はため息をついて項垂れていた。

「何でわかんね~んだ、柊は?」

夏目は凌平に聞くけど

「茜なぁ…天然だからじゃないか(笑)」

楽しそうにニコニコと笑いながら答える。
凌平に聞くんじゃなかったと頭を抑える夏目を眺めながらもやっぱり“アイツ”が解らなくて里緒菜を手招く。
嬉しそうにこちらに来る里緒菜は犬のようで可愛い。

「なんだ、茜?」

「ねぇ、里緒菜は解るの?“アイツ”って誰??」

私の言葉に里緒菜は頭を抱えだした。ブツブツと何か呟き始めた。最近、こういうの多くない?

「“アイツ”ってどうせ保健の結城だろ?ちょっと茜が他のヤツに笑っただけなのに心狭いね。……気持ちは分かるけどね~って夏目に共感したくないっ!!」

何か楽しそうに一人で騒ぐ里緒菜を冷やすのを止めて遠い目で見つめてしまう。


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