意地っ張りの涙(仮)
そっと私から手を離す。だけど私の顔は見ずに

「…瀬野は凌平に任せとけよ。もう落ち着いてるから」

体勢を立て直してから里緒菜と結城先生を見ると、確かに凌平が間に入っているらしく里緒菜は大人しくなっていたし結城先生は普通に相手をしているようだった。

「ホントだ…。でも凌平が行ってるって言葉で言えばいいじゃない?引っ張ったりしなくても……」

軽く夏目を再度睨んだ後、私はプイッと横を向く。

「ああ、そうだな。ーーーでも、結城の側に行かせたくなかったんだよ」

「……何言って…?」

その言葉を聞いて夏目を見れば真剣な顔をして私を見つめていた。【何言ってんのよ】と言うつもりだったのに言葉が宙に消えていった。
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