意地っ張りの涙(仮)
「言わないとわからないのか?茜に近すぎるんだ!!」

言いながら里緒菜は夏目の頭をポンポンと叩く。

「あんまり…調子乗るんじゃねーぞ!」

「俺は……俺のペースでいくだけだって言ってんだろ」

シリアスムードが漂っていて居づらいかも。荷物を持って私は出入り口まで歩き、

「私は先にいくから」

言うだけ言って振り返らずに保健室を目指す。後ろの教室から二人の声が聞こえていた。

「……やっぱり仲悪いのかなぁ?」

自分では鈍くないと信じているが、見ている人たちからすると私は鈍いんだろうか?
ただ、二人が仲悪いだけだよね。
でも仲が悪くなった原因って何だろうねぇ?

無駄なことを考えながら保健室まで歩いていく。扉の前で足を止めてから一応ノックする。

「失礼します。凌平は目を覚ましましたか?」

開けてみれば呑気に結城先生とお茶する凌平がいた。
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