意地っ張りの涙(仮)
そんな私と結城先生に気がついたらしい夏目が然り気無く真ん中に陣取り話を勉強会に戻す。

「で……いつから勉強するんだ?」

「そうだった!皆が話を逸らすから……もぅ!」

「ゴメンって、明日からするか?図書室とかか、場所?」

軽く謝りながら凌平が場所についても聞いてくる。この3人、1年生ながら人気があるんだよね。下手な場所で集まって勉強してたら他の人の迷惑だよ。

「……私も呼び出しくらいそうでイヤだな……」

ぼそりとつい呟いてしまう。

「柊さんも大変だね」

頭を優しく撫でながら慰めてくれる結城先生。

「結城先生は分かってくれますか……」

ポロリと涙を溢しそうになった瞬間、パンっ!と予想通りの音が響く。

「……里緒菜ってば」

私が呆れて名前を呼べば、

「だっ…だって、先生があたしの茜に触るから!」

半泣きで叫ぶ里緒菜に

「私、里緒菜のものではないから」

「瀬野のものじゃねーよ!」

「俺もそう思うよ。二人の言うとおり!」
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