意地っ張りの涙(仮)
それだけ言うと私たちに背を向けて仕事を始めてしまった。何て言うか……大人じゃないか、やっぱり。

「先生みたいなこと言ってんな」

「いやいや、ちゃんと先生だからね、煌太?」

コントみたいな凌平と夏目を放っておいて、私と里緒菜で机と椅子の準備をする。

「結城先生、ありがとうございます!うるさくしないように気を付けますね」

私はお礼を言って勉強に取りかかる。先生は片手だけでヒラヒラと手を振るとそのまま仕事を続ける。

ーーー真面目な姿はカッコイイと素直に思える。

「ほらっ、二人も勉強するならちゃんとして?しないならさっさと帰ってね??」

私は冷たく二人に声を掛けると慌てて私と里緒菜の向かいに座って勉強を始めた。
その姿を見て里緒菜と二人で顔を見合せクスリと笑う。
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