意地っ張りの涙(仮)
「教えあうんじゃなかったのか?」

「そうなんですけど…皆、同じところで詰まっちゃって」

情けない顔をしていたのだろう、苦笑いで私の頭を撫でると立ち上がり皆のところへ来てくれた。

「どれどれ、これか?これはなーーーーーー」

何で保健の先生してるんだろう?
そう思ってしまうほどに教え方も上手で驚いた。

「わかったか?解き方が解れば応用も効くからな。続けてこっちの問題も解いてみろ」

皆も意外だったのか、驚いた顔をしつつも言われたとおりに問題を解き始めた。私も問題に取り掛かったものの気になってしまって手が止まる。

「どうかしたのかな、柊さん?」

私の手が止まったことに気づいた先生が声を掛けてくれた。

「いえ、あの……」

何故か躊躇っていると

「分からないところでもあったかな?」

優しく聞かれて慌てて首を振る。
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