意地っ張りの涙(仮)
下を向いて笑いを堪えているとガタッと椅子を引く音が聞こえてきた。ああ、隣の席の人が来たんだと顔を上げて隣を見た。

……夏目だ。私の隣は夏目なんだ。

何故か泣きそうになってしまった。
すぐに夏目から顔を逸らす。

「煌太~!席ちけぇな。仲良くしようぜ!!」

嬉しそうに夏目に声を掛ける凌平に

「凌平か。それに瀬野か、おまえ?」

里緒菜の容姿の変わりように驚く夏目に

「そうだよ。あたしは瀬野だ。なんか文句あんのか?」

喧嘩を売るように返す里緒菜に戸惑いながら

「いや、そういうわけじゃ…。なんか感じが変わったな」

「あんたもね」

これまた短く返事をして私の側へ移動してきた。



< 8 / 77 >

この作品をシェア

pagetop