恋トレ~この恋お手柔らかに~
確かに世の中には人間の勝手な都合で犬を手放したりする人がいる。

でも私はハチから逃げようとはおもってない。

そりゃ~飼って数日は不安だらけだったし、今だって不安だ。

だけど私にとってはハチはもう立派な家族。

だから、今よりもっといい関係を作りたくてここに来たんじゃない。

「私はそんな自分勝手な人間じゃありません。だからここに来たんです」

すると急に北嶋さんに笑顔が戻った。

どういうこと?

「ごめん。きついこと言っちゃったね。でも夏目さんの本気度を確かめたかったんだ」

「え?」

「ここに来ればすぐに問題解決できると思っている人が多いんだ。
でもね、犬だけが学ぶんじゃなく飼い主も学ばなくてはならないんだ。
時には心を鬼にしてね。その覚悟があるか確認させてもらったんだ」

ええええ?!そういうこと?

一気に力が抜ける。

「で?私はどうなんです?」

すると北嶋さんが私の手の上に自分の手を乗せた。

「一緒に頑張りましょう」

とびきりの笑顔に目がハートになりかけてしまう。

「は、はい」
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