恋トレ~この恋お手柔らかに~
だけどこの恋は1年で終わった。

突然、話があると言われ、閉店後に信吾が店に来た。

いつも明るい信吾がこの日はなぜか元気がないように見えた。

コーヒーを出そうとキッチンに向かうと呼び止められた。

そして椅子に座るなり

「本当は俺の事なんともおもってないよね」と言われ

私は何が何だかさっぱりわからなかった。

「え?何を言ってるの?好きじゃなきゃ付き合ってないよ」

初めての彼氏で誰かと比べることはできない。

だけど、私なりに信吾との時間を大切にしていたい、この人だったら

この先もずっと……という思いがあった。

だけど、そう思っていたのは私だけだった様で信吾は

私に対して、何を考えているかわからない。温度差を感じる等々

私への不満を漏らし、最後には

「好きな人がいる。彼女とは結婚を考えている」と言われた。

相手の女性は同じ職場の後輩だそうで

正確に言えば、好きな人とはもうお互いの気持ちを確かめ合ったから

別れ話を持ちだしたのだ。

私が別れたくないと言ったとしてもそれが叶わない事は

私を見る信吾の顔でよくわかった。

私は、反論する事もせず、信吾の別れ話を黙って受け入れた。

それなのに、信吾は去り際に

「別れたくないって言葉も出ないんだな」と捨て台詞を残した。
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