恋トレ~この恋お手柔らかに~
「は、派手って・・・普段はもっと地味です!」

私は北嶋さんの手から奪うようにブラを取ると手を後ろに回した。

なんでドッグトレーナーにこんなこと言われなきゃいけないの?

しかも鼻で笑った様な言い方。

まるで似合わないと遠回しに言われてるみたいだ。

見かけは良くても、中身は思ったことをズケズケ言っちゃうタイプ?

この感じで出張教室とかだったらどうしよう・・・

っていうか、挨拶のタイミングを逃した。

何もなかったかのように改めて挨拶したら良いのだろうか・・・


「犬が物を離さないのは本能であって単なるわがままとかじゃないんだ。
だから手放しても次の物があると教える必要がある。今みたいにビスケットだったり
新しいおもちゃだったりとハチの前にだし「ちょうだい」といいながら
交換するんだ」

全く知らなかった。

咥えたら無理矢理引っ張って取ってた私のやり方は完全にダメだった。

「さっきみたいに追いかけて奪おうとしたって無理だから」

「はい・・・・・・」

挨拶もすっ飛ばしてのだめ出しに私はブラを握りしめながら俯いた。

「でも、夏目さんみたいに無理矢理取ろうとする飼い主さんは多いからそんなに
落ち込む必要はないよ。要は今日、学んだ事を踏まえて最終的には『ちょうだい』
っていったら離すようになればいいんだから」

北嶋さんはさっきまでの上からな口調からカウンセリングの時のような

優しい話し方になったが言ってることはかなりハードルの高そうな事だった。
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