恋トレ~この恋お手柔らかに~
「それって教え込まないと無理なんですよね」

「・・・・・・無理」 

即答だった。

そして私をじっと見るとアホか?と言いそうな表情を浮かべた。

「すみません」

なんだろう~時々見せる冷たい視線と話し方。

慈善事業じゃないし、こっちは高いお金を払って出張教室にしたのに

ずっとこんな調子だと犬より私の方が逃げ腰になるそうだ。

とはいえ、何も出来ないハチがこのままバカ犬になってしまうのは

ハチもかわいそうだし私もかわいそうだ。

北嶋さんの対応に疑問は残るが頑張るしかないよね。


「すみません、玄関先で・・・どうぞお入りください」

私はブラを見せないようにTシャツの中に押し込んで北嶋さんを招き入れた。


北嶋さんは「失礼します」と言って家に上がった。

そして家の中をキョロキョロと偵察するように見ていた。

「あの~~」

女の一人暮らしを覗かれるのは良い気分じゃない。

でも先生に向かってストレートには言えず、これまた気持ちを察して欲しい表情を

前面に出すと

「別にあんたに興味があるわけじゃない。あくまで犬目線だから勘違いしないで」と

かな~り冷たいトーンで言われた。


もしかして嫌われてる?

いやいや、先生と生徒みたいなもんだ。好きとか嫌いとかはないでしょ~

でも・・・・・・

なぜかハチは北嶋さんが気に入ったのか、私にではなく北嶋さんを見上げながら

ちょこちょことついて行く

おい!飼い主は私よ。

私の立場は・・・ない?

すると北嶋さんはハチを無視するように私に近づく

っていうかTシャツの中に入れ込んだブラをしまいたいんですけど~~
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