恋トレ~この恋お手柔らかに~
そして大型ペットショップの前で立ち止まる。

ウインドウ越しにぬいぐるみのようなたくさんの子犬たちが

ころころと動き回ったり、昼寝をしていた。

そういえば、信吾と初めて会った時、子犬の様な人だと思ったっけ…

そう思ったら急にこみ上げるものが……

ダメダメこんなところで泣いてどうすんの?

大きく深呼吸し、気持ちを落ち着かせる為、ペットショップから

離れようとした。

だが、私は出会ってしまったのだ。

これが運命の出会いというのであればきっとそうなのだろう。

黒々としたまんまるおめめ、タラ~ンと垂れたお耳。毛は短く、他のわんこよりも

足の長いその子とばっちり目が合った。

お姉さん行かないでとまんまるおめめが訴えている。…とその時は感じた。

わんこなんか飼うなんて全く考えていなかった。

なのに、失恋がそうさせたのか気がつきゃ店員に

「あの犬抱っこさせてください」と言っていた。

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