恋トレ~この恋お手柔らかに~
「あのね、私冗談で言ってんじゃないの。犬飼ったら生活の中心は
犬だからね。ちょっとどこかに旅行に行きたいって思っても
犬がいると行けないよ。犬が心のよりどころになったら男なんかいらないって
なっちゃうよ」

「え~~いきなり脅し?」

「脅し?ち、が、う。事実を言ってるだけです。と言っても既に飼ってる麻衣に
言ったところでもう手遅れだけど…それにしても麻衣の顔を見る限り
既に後悔?」

恵子は物事をずばっと言う。決してオブラートに包んだ物の言い方をしない。

そこが彼女の長所でもあり短所でもある。

間違った事を言わない分。言われた方は当たっているだけにダメージを食らう。

「後悔とまでは思ってないけど、かなり甘く見ていたかな……」

今まで動物なんてハムスターくらいしか飼ったことがない私は犬に対して

テレビでみるソファーで眠っていたりとか、ちょこんと座っているとか、

吠える犬は希なタイプだと自分にとって都合のよいイメージしかなかった。

「麻衣の事だから良いことしか頭になかったんでしょ。なんとなく想像つくけど・・・
思ってること言ってみな。話しぐらいなら聞くよ」

恵子の同情の眼差しに私は、凄くかわいいんだよ、と前置きをしながらも

飼い始めてからの大変さを話した。

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