雨のち虹 ~カタツムリの恋~
タイヤ交換を作業担当の男性に頼み、私は休憩に入る。
まだ温かい200円を手に握り締め、店の外へ出る。
自動販売機の前に停まっているトラック。
運転席のシートを倒して眠っているのは、さっきのおじさんだった。
タイヤ交換を待つ間に寝ちゃったんだ。
私は、窓から少し覗いて心の中で呟いた。
『おじさん、ありがと!』
ミャーー!!
猫の鳴き声がした。
最近、店の周りに猫がよく集まっていた。
先週は、真っ黒な猫が店の中を走り回って、大変だった。
「ほら~、これ飲めよぉ・・」
誰かの声がした。
自動販売機の横の段ボール置き場で、猫に話しかける人の姿…
なぜだかわからないけど、
ドキドキした。
すごくドキドキして、動けなくなった。