雨のち虹 ~カタツムリの恋~
ポケットに手を突っ込んで、ふふふって笑ったその人は、
私に切ない香りを残したまま、トラックに乗り込んだ。
いつの間にかタイヤ交換が終わり、おじさんが支払いをしていた。
助手席に座った彼は、髪をかきあげる。
眩しそうな顔をして…
右手を軽く上げた。
私に手を上げてくれたのか、
隣にいた作業員に手を上げてくれたのか、わからない。
でも、夕日に輝く金色の髪を
私は忘れることができなかった。
白猫頼んだよって・・・
でもね。
あれからいくら探しても
白猫は見つからなかった。
そして、黄緑色の作業服を着た彼も
私の前に現れることはなかった。
いつも
同じ缶コーヒーを飲んで、休憩する私は、
少しは、人間らしくなれたのかな・・・