雨のち虹 ~カタツムリの恋~
もう一度会いたい。
彼に会って、話がしたい。
少し寂しそうな瞳と、猫に向けられた優しい微笑み。
猫が去った時の彼の顔・・・
とても悲しそうだった。
大事なものを失うことの悲しさを知ってる人。
きっと、
きっとね、彼なら私の気持ちをわかってくれる。
大事なお父さんが突然消えたあの悲しみを・・・
彼が消してくれるんじゃないかって・・・
勝手に頭の中で美化して、勝手に創り上げた彼が夢に出てきた。
何も知らないのに・・・
年齢も、
名前も、
何も知らない。
ただ、
土曜日だと言うのに働いていて、
黄緑色の作業服を着ていたってことだけ。
そして、
私の心の真ん中をぎゅっと掴む素敵な瞳の持ち主だってこと。