雨のち虹 ~カタツムリの恋~
さいかい
ゆかりの部屋は昔と同じだった。
ゆかりのお母さんは、俺の金色の髪を見て、少し驚いていた。
俺が頭を下げると、昔のままの笑顔を向けてくれた。
ソファに座っていると、時間がどんどん過去に戻るようだった。
だめだ。
まだ、俺はゆかりに向き合う男には、なってない。
今、好きだと言っても、また悲しい結末が俺達を待っている。
俺は、もうお前とは違うんだってとこをゆかりに見せようとした。
なのに、ゆかりは言う。
『龍、昔と同じだね。良かった。』
俺は、隣に座るゆかりを抱きしめた。
ゆかりは、俺を軽い男と思うだろう。
それでいい。
俺を嫌いになってくれた方が、ゆかりにとっては良い。
俺の目をじっと見つめる目が、俺に語りかける。
『好き・・・』って。
俺も好きだよ。
俺も、まだ全然吹っ切れてねぇよ。
だけど、だめだ。
また傷つけ合うだけ・・・
もう帰るわ・・・って冷たく部屋を出ようと思った。