雨のち虹 ~カタツムリの恋~
タイヤ交換に立ち寄った自動車用品専門店。
有名でもなさそうなその店の中で、車内の芳香剤を見て回った。
客の姿はほとんどなく、かかってる曲も演歌で、さびれた店。
床の修復をしているガムテープが俺の靴にくっついた。
埃のかかった芳香剤を一個手に持った。
レジで田中さんがタイヤ交換の手続きをしていた。
黄色い制服来た店の女。
その黄色が田中さんの黄緑と並ぶと、ずっげー笑える。
って、俺もあの黄緑を着てるんだけど・・・
何が楽しくて、こんな店でバイトしてんだ?
どう見てもまだ高校生くらいなのに・・・
無愛想なその子を見ていると、
俺は自分を見てるみたいで悲しくなった。
笑えよ・・・
接客のバイトなんだから、もう少し笑えって・・・
俺の心の声が届いたのか、その子がやっと笑った。
笑うと・・・
案外かわいいじゃん。
またすぐに表情がなくなる。
俺は、選んだ芳香剤を、もう1つ棚に取りに戻る。
バイトのトラック用と、
先輩の車用。