雨のち虹 ~カタツムリの恋~
泣きそうな俺の前に一匹の子猫が来た。
ふふふ・・・
ゆかりみたいだなぁ。
目がくりくりしてて、かわいい。
俺は、またゆかりを想う。
吹っ切るって決めたのに。
寒そうに震えながら、俺に近付く真っ白な子猫。
「コーヒー飲む?」
猫は、俺の差し出したコーヒーの缶に鼻先を近づけた。
俺は、自分の手のひらにコーヒーをほんの少し垂らした。
「あっちー!!おい、やけどすんなよ、ほら。」
小さなピンク色の舌で
俺の指と指の間のコーヒーを舐める。
今度は、もう少しコーヒーを垂らした。
俺の手からコーヒー色が消えるくらい綺麗に全部飲んだ。