雨のち虹 ~カタツムリの恋~
隣にいる直は、心配そうに2人の様子を見ていた。
直が、泣きそうになる私に気付き、そっと手に触れた。
直にとっては、何気ないこと。
直は、私の手に触れたことも忘れちゃうかも知れない。
でもね、
私は、きっとその温かな手をずっと忘れない。
何か悲しいことがあると、さりげなく・・・
直は、私に声をかける。
それは、計算でもなく、同情でもなく、直の天性の優しさ。
神様が直に与えた素晴らしい才能。
「依ちゃん、大丈夫?」
直は、そう言って、私の顔を覗きこんで、また視線をゆかりに移す。