雨のち虹 ~カタツムリの恋~
裸の心
突然話し始めた私に、龍は少し困った顔をした。
火をつけたタバコをすぐに消したり、残ったオムライスを真ん中に集めて、それをまた広げたり、落ち着きがなかった。
そのうち、龍は机に肘を付き、顔を私に真っ直ぐに向けた。
『うん・・・ それで?』
とても優しい声で・・・
私の心の中に入ってくる。
もう、ここがどこなのか、何時なのかさえわからなくなっていた。
うるさい洗い場の音も、話し声も、タバコの煙も気にならない。
この空間に、私と龍だけしかいないかのような不思議な気持ちになった。