雨のち虹 ~カタツムリの恋~
話し終えた私に、龍は言った。
『俺より辛い人間もいたんだな』
コーヒーカップに残った一滴を飲み込んだ龍は、右手で私の前髪をかきあげた。
「お疲れ。今日はよく眠れるだろ・・・また話したくなったらいつでも呼べよ。」
龍は、お皿に残ったオムライスをスプーンで真ん中に寄せて、一粒残らず食べた。
私はその姿を見て、この人が好きだと感じた。
「お前も残すなよ。」
私も綺麗に全部食べた。
「お互い貧乏だったからなぁ!」
龍は、今日初めて見せる無邪気な笑顔で私を見つめた。
あの日、真っ白な猫に笑いかけたあの優しい顔で・・・