雨のち虹 ~カタツムリの恋~
一目見て、気に入ったパーカー。
だってね・・・
黄緑のパーカーがあったんだ。
龍と初めて会ったあの日に着ていた黄緑とそっくりな色。
私と付き合うようになってから、龍のバイトの制服は茶色に変わった。
黄緑を嫌がっていた龍のせいじゃないかと思う。
「龍、絶対黄緑にして!!!」
「ん??やだよ!だっせー!!俺、黒でいい。」
黒のパーカーを手に取る龍。
その奥に・・・
「あ!!依子!お前これな!!」
龍の手に持っていたのは、『黄色』のパーカー。
懐かしいあの日、私が着ていた黄色の制服のような鮮やかな派手すぎる黄色。
「龍・・・もしかして・・・・・・」
「お前こそ・・・・・・まじ??」
私と龍は
お揃いのパーカーを買って店を出た。
店を出ると、龍が私の手を思い切り引っ張って、路地裏へと連れて行く。
強引な手。
そして、私を強く強く抱きしめる。
午後4時の道路わきで・・・
キスをした。