雨のち虹 ~カタツムリの恋~
俺は
殴られるのは嫌い。
誰だってそう。
だけど、俺は相手の為に黙って殴られる。
父さんは、俺を殴った後いつも後悔してた。
だから、俺は反抗できなかった。
もう、最近は殴ることもないが…
その代わりに会話もない。
俺が廊下で不良仲間と話していると、さまざまな視線を感じた。
俺が気にしてるのは、たった一人からの視線。
隣のクラスの気になるあの子。
「待ってよ~、ゆかり!」
友達のその声を聞いて、彼女の名前がわかった。
隣のクラスの『ゆかり』の存在が、
俺の支えになってることにまだ気づいてはいなかった。