雨のち虹 ~カタツムリの恋~
こころ
中学3年になり、初めて友達と呼べる子ができた。
その子は、私が電話番号を聞こうと思った日に転校した。
結局、私は自分が必要だと思った相手には逃げられる運命なんだ。
たくさんの生徒がいるのに
どうしてその子が転校するの?
やっとできた友達は
また私から遠い場所へ行く。
だけど、その子が教えてくれた事。
その子が言った言葉。
「依ちゃんの心、綺麗だよ。まだ今ならやり直せるよ!」
私の心はもう透明な部分がないくらいに汚れてる。
いろんなゴミがくっついて
誰にも磨かれなくて錆びてる。
そんな私の心が…
綺麗だと言った。
本当はどういう意味なのか聞きたかった。
だけど、突っ張ってる私にはそんな勇気がなく
「ば~か!」
って笑ったっけ。
本当は、滅多に出ない涙が出そうだったんだ。
私の心が綺麗だと言ってくれたことが
嬉しくて嬉しくて
大声で泣きたかった。
もう何年も泣いてない。
声を出して泣きたかった。