雨のち虹 ~カタツムリの恋~
廊下で新垣とすれ違う時、
目が合うと、何か声をかけてくれた。
「スカート短いぞ!」
とか
「爪、切れ!」
とか。
ちっとも優しくない、うるさい先生なんだけど…
嬉しかったんだ。
誰も私を叱ってくれないんだもん。
夜遅く帰っても誰も私を怒らない。
男の子との約束を勝手に破っても『いいよいいよ』って言うんだもん。
構ってほしいんだよ、もっと。
今までの彼氏で、私を夢中にさせる男がいなかったのは
みんな優しすぎたから。
誰も、私を変えようとはしなかったから…
わがままで
自分勝手で
人を信じられない私を
誰かが変えてくれると信じて生きてきた。
新垣なら
私を救ってくれるかもしれないって…
そう思ったんだ。