雨のち虹 ~カタツムリの恋~


廊下で新垣とすれ違う時、


目が合うと、何か声をかけてくれた。



「スカート短いぞ!」


とか


「爪、切れ!」


とか。





ちっとも優しくない、うるさい先生なんだけど…


嬉しかったんだ。




誰も私を叱ってくれないんだもん。





夜遅く帰っても誰も私を怒らない。


男の子との約束を勝手に破っても『いいよいいよ』って言うんだもん。



構ってほしいんだよ、もっと。


今までの彼氏で、私を夢中にさせる男がいなかったのは

みんな優しすぎたから。



誰も、私を変えようとはしなかったから…




わがままで


自分勝手で


人を信じられない私を



誰かが変えてくれると信じて生きてきた。





新垣なら


私を救ってくれるかもしれないって…



そう思ったんだ。


< 39 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop