雨のち虹 ~カタツムリの恋~
はじめて
それから俺の『初めて』づくしの恋が始まった。
周りに彼女がいる友達もいなかった。
俺に『恋愛の仕方』を教えてくれる人がいなかったせいで
俺は、自己流の恋愛を繰り広げて行った。
クラスの中で、浮いていた時期が長かったせいで、浮くことに怖さはない。
誰に何を思われてもいいから、俺は人生初の彼女を大事にしたかった。
愛に飢えていたのだろうか。
俺は、『約束事』を作って、安心したかった。
いつか 気付いたら ゆかりがいなくなっているような不安をかき消す為に
『恋愛5か条』を決めた。
ゆかりにとっても、初めての男女交際。
2人とも、興味半分で考えた。
①一日一回は廊下で会話する
②毎日一緒に帰る
③秘密は絶対作らない
④他の異性と仲良くならない
⑤堂々と手をつなぐこと
中学生で、こんな五箇条が守れる奴はまずいない。
思春期真っ只中の俺達にとって、恥ずかしくて守れるわけねぇんだ。