雨のち虹 ~カタツムリの恋~
「ゆかり、帰ろうぜ!」
照れてる自分を隠す為、わざと堂々と振舞った。
心臓はバクバクで、手には汗がにじんでた。
この学年で、こんなにも堂々と付き合ってるカップルはいなかった。
どうしてだか、芸能人の恋愛のように隠れて付き合ってる奴らが多かった。
「ちょっと待って! 龍!!」
1ヶ月もすると、ゆかりからも恥ずかしさが消えていた。
堂々と俺の名前を呼び捨てにするようになった。
案外、女子の方が大人なんだと実感した。
下足室までいつも3人で帰った。
3人というのは、ゆかりの親友の『直』って子と俺とゆかり。
直ちゃんは、いつも俺とゆかりを見て冷やかした。
「早く、手…繋ぎなよ~!」って俺の腕をツンツンしてくる。
校門を出るまで手を繋げない俺を、直ちゃんはからかって遊んでた。