雨のち虹 ~カタツムリの恋~
誰かに抱かれているときに、
新垣を思い出すことはなかった。
それはやっぱり、新垣にお父さんを重ねていたからかもしれない。
新垣は、私を救い出してくれる神様のような存在で、
決して、男として私を抱いてほしいなんて思ったことはなかった。
運命の相手がどこかにいるんだって勝手に思い込むようになった私は、
それだけを支えに生きていた。
新垣が運命の相手じゃないことなんて、最初からわかってた。
でも、今の私には新垣を追いかけることでしか、生きてる実感を感じることができなかった。
お父さん、ごめんね。
あなたの愛してくれた依ちゃんは、好きでもない男に抱かれています。