雨のち虹 ~カタツムリの恋~
はなれたこころ【龍】
【龍】
俺は寂しかった。
ただ、寂しかった。
ゆかりに対しての気持ちは、憧れにも似て、尊敬にも近かった。
俺にないものを全部持っているような女の子。
俺にない社交性や
俺にはない、屈託のない笑顔。
先生からも好かれていて、誰が見ても素直でいい子。
そんなゆかりが俺と付き合っていたことがそもそも間違いだったのか…
ゆかりと一緒に帰らなくなった俺は、以前よりも孤独な俺になった。
寂しくて
悲しくて
寒くて…
もう戻ってこない宝物を必死で手を伸ばして探していた。