雨のち虹 ~カタツムリの恋~
それからしばらくして、直のおかげで俺とゆかりはよりを戻した。
離れていた時間の俺の深い悩みのわりには、あっけらかんと元に戻った。
何事もなかったかのように普通にまた一緒に帰りだした。
でも、キスはできなかった。
思えば、この頃からどこかで歯車が狂い始めていたのかもしれない。
「ごめんな、ゆかり。」
「龍、ごめん。私、初めての彼氏で、付き合うってことがよくわかってなかった。」
ゆかりは、秋の風に吹かれながら大人っぽい顔をした。
また
置いてけぼり?
そんな気がした。
俺だけ、まだ心が子供なまま…
ゆかりは、一回り大きくなって俺の元へ帰ってきた。