雨のち虹 ~カタツムリの恋~
「おい、笑うなよ!」
そう言いながらも、俺はホッとしていた。
ゆかりは、エロ本を見つけて、笑いながら部屋を見渡した。
「龍の部屋なんだぁ。嬉しい!」
おい・・・
ニヤけるじゃん。
そんな嬉しいセリフが聞けるとは思っていなかった。
臭いとか汚いと言われる覚悟だった俺は、嬉しくて、ゆかりを抱きしめた。
一度、別れてからは感情のままに抱きしめることがなかった。
久しぶりだった。
「龍、また連れてきてね…」
俺の胸の中で聞こえた声を、
遮るかのようにキスをした。
中学三年は、子供?
大人?
大人じゃない。
だけど、体はもう大人なんだ。
それに、自分達はすっかり大人になった気分なんだ。
まだ義務教育の身分なのに…