雨のち虹 ~カタツムリの恋~
汚い布団の上で俺とゆかりは抱き合った。
家の鍵を閉めたかどうか不安になった。
出しっぱなしのこたつ用の机の上に置かれたコーラがこぼれそうで心配だった。
いざという時のために友達と買ったアレ…
どこにしまったのか、覚えてねぇや。
毎日眠ってる自分の布団で、今、彼女を抱こうとしている。
それが夢のようで、俺は意識が遠のいていた。
「いいよ、龍なら・・・」
ゆかりは落ち着いていた。
俺の心臓はゆかりの3倍くらい速く動いていただろう。
好きだったバンドのポスターを壁に貼っていた。
それを見ながら、俺は気持ちを落ち着かせた。
近所の子供が鬼ごっこをしていた。
その声があまりにも近くから聞こえる気がして、ドキドキした。
やっと見つけたアレを
震えながら開けた。
練習したのに
ちっともうまく行かなくて…
ゆかりは優しく微笑みながら俺を見つめた。
不安も
将来のことも
今だけ忘れて、ゆかりを愛したい。