雨のち虹 ~カタツムリの恋~
卒業式は笑って過ごしたい。
だって…
喧嘩もしたけど、俺とゆかりってラブラブだったじゃん。
学校中の憧れのカップルで、
誰もが知ってる有名な2人だったじゃん…
最後なんだよ…
ゆかりと同じ目線で
同じ歩幅で歩ける最後の一日なんだ。
あんなに楽しかったじゃん。
ここで、俺とゆかりは出会い、恋をして、初めての経験をした。
最後の一日を笑って過ごせないと、ここでの時間が全部嘘になっちゃうような気がする。
だから、笑おう。
「昨日はごめん!俺が悪かった。俺が、卒業すんの寂しくて…ごめんな。」
謝ることが苦手な俺が、何度も謝っているうちにゆかりは笑い出す。
そう。
ゆかりってこういう子なんだ。
だから、俺は好きになった。
何となく終わりを予感してる俺は
小さい男だな。
まだこんなに好きなのに…
別れたときのことを、もう考えてる。