雨のち虹 ~カタツムリの恋~


待ち合わせをしたゲーセンの前。


女子高生のうるさい笑い声と、ゲームの耳障りな音。







イライラした。


なかなか来ないゆかりにも、5月のくせに蒸し暑い天気にも。




ゲーセンの前の植木を囲むレンガの上に座っていた。

現実感がなくなってきて、夢の中のような気分だった。



音だけがエコーがかかったように俺の脳に響いた。




美しい緑の木々が並ぶ通りの向こうから歩いてくるゆかりを

他人事にように見ている自分がいた。





かわいい女子高生だなぁ。

きっとあの子、モテるんだろうなぁ、なんて考えてた。




隣にいるのは誰ですか?


どうして、デートの待ち合わせ場所に来るのに、隣に男がいるんですか?






まぁ、いい。



考えるのも面倒くせぇ。


< 92 / 168 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop