雨のち虹 ~カタツムリの恋~
その日から、俺はゆかりの目を見なくなった。
真っ直ぐなゆかりの目に向き合う勇気がなかった。
毎晩、酒を飲む親父を横目に見ながら、俺は心の中にいなくなった彼女を思い出してばかりいた。
好きだけど、
何かが変わってしまっていた。
気付き始めたゆかりは、俺に女ができたのではないか、と嫉妬した。
俺は、そう思われても仕方がないか、と弁解もせずに避けた。
自分から別れる方向へハンドルを切ってしまっていた。
喧嘩ばかりした。
俺がやきもちを焼いて、ゆかりは泣いて、『それは違う』と言った。
ゆかりがやきもちを焼くと、俺は『そうかもな』と、言った。
高校生になったゆかりは眩しくて、俺は目を細めないとゆかりを見ることができなかった。