うちの社長はバカだ
「えっ、いやいや、いいんですか!?そんな簡単に!」
まさかの回答に俺の焦りは最高潮となった。俺の計画は完璧だ、とか言っていた自分が恥ずかしいと思うのも忘れるくらいに
「俺だけが決めれることでもねーから取り敢えず連絡してみるよ、あー俺って何ていい教師なんだ」
そう言いながら先生は自身の携帯を取り出し連絡し始めた
待て待て待て、何がいい教師だ
俺が普段どれだけ山吹に怯えながら学生生活を送ってると思ってるんだ
今だって山吹の怒りを受けるのが怖くて嘘をついたって言うのに、山吹という恐怖の塊の知人の所に就職するだと?無理だ、俺にはとてもじゃないが半月ももつ自信が無い
山吹の知人って事は普通のやつではないのは明らかだ
それは校内中の誰もが知っていることだ
だから現に、山吹が2年前に言っていた「知人が自営業を始めたので遊びに行ってやってくれ」という話を聞いた者は沢山いたものの誰ひとりとして行かなかったのだ。
怖くて誰も行けないのだ
例えるなら、森で熊に襲われに行くのと同じ事だ。
どうしよう、失敗した時のことを考えていなかった。
完全に計算ミスだ
「おい、おーい、聞いてんのか?」
打開策を考えていたため山吹が話しかけていることに気付かなかった
「えっ、あ、すみません。少し緊張していて聞いていませんでした。なんですか?」
さらっと嘘をつきながら山吹に素直に謝って頭を下げた
「面接してやるってよ、良かったな。今から行ってこい」
俺は聞き間違いをしているのではないかと自身の耳を疑った。
面接してやる?今から行ってこい?
頭の回転が早いお陰ですぐに理解出来た
、したくはなかったが。
「あっ、はい!ありがとうございます!!えっと、場所って何処にあるんでしょうか?」
俺の心中は、嫌だ嫌だ嫌だ、行きたくない何でだ、絶対変人だろ、行きたくない!!だ。
俺は山吹に「働きたかったのに場所も知らんのか」と少し言われたがそれ以上は何も追求はされず、すんなりと教えてくれた。
普通に良い奴だと勘違いするだろうが、山吹は恐ろしい奴だ。決して心を許してはならない。顔が良いからと女子からはちやほやされているが、俺は奴の恐ろしさを知っている
何故なら、奴は
俺がゲーム機(学校に持ってきてはいけない)を持ってきていたら、「ほかの先生には言わないでやるよ。」と見逃してくれるのかと思いきや、ゲーム機を取り上げた挙句、そのゲーム機は俺の手元に戻ってくることは無かった。
恐ろしい奴、というか嫌いな奴だ。
下手にこいつを怒らせると、何をやらかすか分からないという恐怖を俺に植え付けた。
取り敢えず今は面接をどうするかが重要だ。履歴書は一応書いて今手元にある。山吹に呼び出されるのを予測して書いていたのだ。勿論志望動機もしっかり書いてある、どこの会社でも通用するような志望動機をな
何社も受ける覚悟はしていた。だが、最初から落ちることを目的として行くのは時間と履歴書の無駄だ。...今回は山吹から逃れると思って乗り切ろう
しかし、1つ問題がある。大抵コネで行くということは80%はもう受かったようなもの。かといって下手に醜態を晒して落ちると山吹の雷が落ちる。
本当に面倒なことになった
どうするかと作戦を練っている間に目的場所に着いてしまった。
そこには相談事務所と書かれた綺麗な看板がビルに設置されており、そのビル自体も大きくはないが決して小さくもなく、最近出来たばかりの建物といった感じの雰囲気だ
まさかとは思うけど、会社を作るためにビルまでも新しく作ったんじゃないよな?
そんなわけないか
にしても、自営業と聞いていたので、てっきり居酒屋か何かだと完璧に勘違いしていた。相談事務所って、山吹知人に相談するなんて怖すぎる。本当に儲かっているのか?
やっぱり山吹同様、疑問ばかりが増えていく人物のようだ
相談事務所は3階のようで、エレベーターに乗り上がって行くことにした
にしても本当に綺麗な場所だ。ほこりやゴミというものが一切ない。清掃業者でも頼んでいるのか
なんとなくだが、エレベーターの速さも普通のエレベーターより速い気がする。あっという間に3階へついてしまった
エレベーターを出ると目の前に扉があった。扉以外には、トイレへと続く通路があるのみだった。
この先に山吹の知人が...
まだ、山吹の雷が落ちず、尚、面接に落ちることが出来るかの打開策を考えていないというのに、いきなりラスボス(最後の敵)に挑むことになるとは。
仕方ない、こうなれば面接をしていく中で考えていくしかない
コンコンコン
ノックを3回すると「はい、どうぞ」と返答が返ってきたので部屋の中へ入る
「失礼します。..電球高校から参りました、普通科3年、柊楓です。よろしくお願いします。」
面接練習は全くしていないが、面接練習をしている人は何度か見かけたので、それを真似ているだけだ。
下げていた頭を上げるとそこには、高級そうなソファやテーブル、テレビや、冷蔵庫。食器棚までもが置かれていて生活感に溢れる部屋というほどでもなく、シンプルで落ち着いた事務所といった感じだった。奥にはまた別に、恐らくこれが世に言う社長デスクというものだろう。大きい机に、柔らかそうなクルクルと回ることの出来るそれもまた大きい椅子があった。どれも本当に高そうなものばかりが並べられていた
本当になんなんだ、ここは。
これが普通なのか?
会社というものをこれまで見たことのない俺はそう錯覚するが、だが、それは違う気がすると直感した
そして、この空間で違和感なく、いや寧ろ、この高級に溢れた家具達に囲まれていることが合っていると言わんばかりの人物が、手前のソファに脚を組んで座っていた
その顔立ちはとても整っていて、肩に少しかかる程度の髪の長さで、綺麗で少し明るめの茶色の髪色。整った顔立ちにとても似合っていた。体型も、座っていても分かるくらいにモデル体型だ。脚や腕、全てが長く綺麗だった。俺よりも身長は低いにしても170くらいは有にあるだろう。
俺はそんな彼女に見とれてしまっていた。彼女?
女!?今頃になって女性だと気付く俺。
まさか、山吹が言っていた知人というのは女性だったのか?待て、そうなると自営業を始めたと言っていたのだから彼女が社長!?
色々整理が付かなくなってきた
「貴方が千春の生徒さんですね。どうぞお掛けになって下さい。」
俺がパニクっていること中、彼女は柔らかい笑顔で、組んでいた脚を直し座り直していた。千春というのは山吹の下の名前だ。結構親しい仲なのか?
「はい、失礼します。」
俺も笑顔で頭を下げゆっくりと座った。
思っていた以上にソファが柔らかく奥深くまで吸い込まれるような座り心地だった
俺と彼女はテーブルを挟んで対面する形で座っていた。その距離は近くハッキリと顔が見える距離だった
さて、どうする。予想外のことが起こりすぎている。取り敢えず相手の出方を見るか
「では、まず自己紹介から。この会社の設立者、兼、社長の五十嵐 莉乃(いがらし りの)です。よろしくお願いします。」
彼女は、笑顔を崩さぬまま自分の手を胸にあてながら自己紹介した。仕草のひとつひとうが見ていてとても綺麗で見とれてしまう。
やっぱり社長だったか..。この年でどうやってこの会社を設立したんだ?親のコネか?疑問ばかりが増えていく。
「はい、よろしくお願いします。」
負けじと笑顔で返す。そうしてようやく本題へと入る
筈だったのだが
「合格です!」
語尾に♡が付くのではないかと思うくらい可愛く首を横に傾げながらいう彼女に、空いた口が塞がらなくなりかけた。
勿論今も通常笑顔のままだ
「えっと、どういうことですか?」
俺は思ったことをそのまま言うことにした。苦笑いにもにた笑みを浮かべながら彼女の顔色を伺う。
すると彼女は、やっぱり笑顔のまま答えた
「このお仕事は、笑顔さえ完璧だったら出来るお仕事なんですよ。だから、合格です!」
彼女はふふっと小さく笑いながら俺に優しく教えてくれた。
完全にやられてしまった。完敗だ。
俺はもう考えることをやめた
彼女はすっと立ち上がり、俺に手を差し出しながらこう言った
「これから、よろしくお願いしますね!柊楓くん」
さっきまでの笑顔とは明らかに違う笑顔を俺に向けてくる。
その笑顔は、子供が新しい玩具を貰った時と同じ、笑顔だった。
これからどうなるんだ、俺の人生...。
まさかの回答に俺の焦りは最高潮となった。俺の計画は完璧だ、とか言っていた自分が恥ずかしいと思うのも忘れるくらいに
「俺だけが決めれることでもねーから取り敢えず連絡してみるよ、あー俺って何ていい教師なんだ」
そう言いながら先生は自身の携帯を取り出し連絡し始めた
待て待て待て、何がいい教師だ
俺が普段どれだけ山吹に怯えながら学生生活を送ってると思ってるんだ
今だって山吹の怒りを受けるのが怖くて嘘をついたって言うのに、山吹という恐怖の塊の知人の所に就職するだと?無理だ、俺にはとてもじゃないが半月ももつ自信が無い
山吹の知人って事は普通のやつではないのは明らかだ
それは校内中の誰もが知っていることだ
だから現に、山吹が2年前に言っていた「知人が自営業を始めたので遊びに行ってやってくれ」という話を聞いた者は沢山いたものの誰ひとりとして行かなかったのだ。
怖くて誰も行けないのだ
例えるなら、森で熊に襲われに行くのと同じ事だ。
どうしよう、失敗した時のことを考えていなかった。
完全に計算ミスだ
「おい、おーい、聞いてんのか?」
打開策を考えていたため山吹が話しかけていることに気付かなかった
「えっ、あ、すみません。少し緊張していて聞いていませんでした。なんですか?」
さらっと嘘をつきながら山吹に素直に謝って頭を下げた
「面接してやるってよ、良かったな。今から行ってこい」
俺は聞き間違いをしているのではないかと自身の耳を疑った。
面接してやる?今から行ってこい?
頭の回転が早いお陰ですぐに理解出来た
、したくはなかったが。
「あっ、はい!ありがとうございます!!えっと、場所って何処にあるんでしょうか?」
俺の心中は、嫌だ嫌だ嫌だ、行きたくない何でだ、絶対変人だろ、行きたくない!!だ。
俺は山吹に「働きたかったのに場所も知らんのか」と少し言われたがそれ以上は何も追求はされず、すんなりと教えてくれた。
普通に良い奴だと勘違いするだろうが、山吹は恐ろしい奴だ。決して心を許してはならない。顔が良いからと女子からはちやほやされているが、俺は奴の恐ろしさを知っている
何故なら、奴は
俺がゲーム機(学校に持ってきてはいけない)を持ってきていたら、「ほかの先生には言わないでやるよ。」と見逃してくれるのかと思いきや、ゲーム機を取り上げた挙句、そのゲーム機は俺の手元に戻ってくることは無かった。
恐ろしい奴、というか嫌いな奴だ。
下手にこいつを怒らせると、何をやらかすか分からないという恐怖を俺に植え付けた。
取り敢えず今は面接をどうするかが重要だ。履歴書は一応書いて今手元にある。山吹に呼び出されるのを予測して書いていたのだ。勿論志望動機もしっかり書いてある、どこの会社でも通用するような志望動機をな
何社も受ける覚悟はしていた。だが、最初から落ちることを目的として行くのは時間と履歴書の無駄だ。...今回は山吹から逃れると思って乗り切ろう
しかし、1つ問題がある。大抵コネで行くということは80%はもう受かったようなもの。かといって下手に醜態を晒して落ちると山吹の雷が落ちる。
本当に面倒なことになった
どうするかと作戦を練っている間に目的場所に着いてしまった。
そこには相談事務所と書かれた綺麗な看板がビルに設置されており、そのビル自体も大きくはないが決して小さくもなく、最近出来たばかりの建物といった感じの雰囲気だ
まさかとは思うけど、会社を作るためにビルまでも新しく作ったんじゃないよな?
そんなわけないか
にしても、自営業と聞いていたので、てっきり居酒屋か何かだと完璧に勘違いしていた。相談事務所って、山吹知人に相談するなんて怖すぎる。本当に儲かっているのか?
やっぱり山吹同様、疑問ばかりが増えていく人物のようだ
相談事務所は3階のようで、エレベーターに乗り上がって行くことにした
にしても本当に綺麗な場所だ。ほこりやゴミというものが一切ない。清掃業者でも頼んでいるのか
なんとなくだが、エレベーターの速さも普通のエレベーターより速い気がする。あっという間に3階へついてしまった
エレベーターを出ると目の前に扉があった。扉以外には、トイレへと続く通路があるのみだった。
この先に山吹の知人が...
まだ、山吹の雷が落ちず、尚、面接に落ちることが出来るかの打開策を考えていないというのに、いきなりラスボス(最後の敵)に挑むことになるとは。
仕方ない、こうなれば面接をしていく中で考えていくしかない
コンコンコン
ノックを3回すると「はい、どうぞ」と返答が返ってきたので部屋の中へ入る
「失礼します。..電球高校から参りました、普通科3年、柊楓です。よろしくお願いします。」
面接練習は全くしていないが、面接練習をしている人は何度か見かけたので、それを真似ているだけだ。
下げていた頭を上げるとそこには、高級そうなソファやテーブル、テレビや、冷蔵庫。食器棚までもが置かれていて生活感に溢れる部屋というほどでもなく、シンプルで落ち着いた事務所といった感じだった。奥にはまた別に、恐らくこれが世に言う社長デスクというものだろう。大きい机に、柔らかそうなクルクルと回ることの出来るそれもまた大きい椅子があった。どれも本当に高そうなものばかりが並べられていた
本当になんなんだ、ここは。
これが普通なのか?
会社というものをこれまで見たことのない俺はそう錯覚するが、だが、それは違う気がすると直感した
そして、この空間で違和感なく、いや寧ろ、この高級に溢れた家具達に囲まれていることが合っていると言わんばかりの人物が、手前のソファに脚を組んで座っていた
その顔立ちはとても整っていて、肩に少しかかる程度の髪の長さで、綺麗で少し明るめの茶色の髪色。整った顔立ちにとても似合っていた。体型も、座っていても分かるくらいにモデル体型だ。脚や腕、全てが長く綺麗だった。俺よりも身長は低いにしても170くらいは有にあるだろう。
俺はそんな彼女に見とれてしまっていた。彼女?
女!?今頃になって女性だと気付く俺。
まさか、山吹が言っていた知人というのは女性だったのか?待て、そうなると自営業を始めたと言っていたのだから彼女が社長!?
色々整理が付かなくなってきた
「貴方が千春の生徒さんですね。どうぞお掛けになって下さい。」
俺がパニクっていること中、彼女は柔らかい笑顔で、組んでいた脚を直し座り直していた。千春というのは山吹の下の名前だ。結構親しい仲なのか?
「はい、失礼します。」
俺も笑顔で頭を下げゆっくりと座った。
思っていた以上にソファが柔らかく奥深くまで吸い込まれるような座り心地だった
俺と彼女はテーブルを挟んで対面する形で座っていた。その距離は近くハッキリと顔が見える距離だった
さて、どうする。予想外のことが起こりすぎている。取り敢えず相手の出方を見るか
「では、まず自己紹介から。この会社の設立者、兼、社長の五十嵐 莉乃(いがらし りの)です。よろしくお願いします。」
彼女は、笑顔を崩さぬまま自分の手を胸にあてながら自己紹介した。仕草のひとつひとうが見ていてとても綺麗で見とれてしまう。
やっぱり社長だったか..。この年でどうやってこの会社を設立したんだ?親のコネか?疑問ばかりが増えていく。
「はい、よろしくお願いします。」
負けじと笑顔で返す。そうしてようやく本題へと入る
筈だったのだが
「合格です!」
語尾に♡が付くのではないかと思うくらい可愛く首を横に傾げながらいう彼女に、空いた口が塞がらなくなりかけた。
勿論今も通常笑顔のままだ
「えっと、どういうことですか?」
俺は思ったことをそのまま言うことにした。苦笑いにもにた笑みを浮かべながら彼女の顔色を伺う。
すると彼女は、やっぱり笑顔のまま答えた
「このお仕事は、笑顔さえ完璧だったら出来るお仕事なんですよ。だから、合格です!」
彼女はふふっと小さく笑いながら俺に優しく教えてくれた。
完全にやられてしまった。完敗だ。
俺はもう考えることをやめた
彼女はすっと立ち上がり、俺に手を差し出しながらこう言った
「これから、よろしくお願いしますね!柊楓くん」
さっきまでの笑顔とは明らかに違う笑顔を俺に向けてくる。
その笑顔は、子供が新しい玩具を貰った時と同じ、笑顔だった。
これからどうなるんだ、俺の人生...。