うちの社長はバカだ
入社
俺は、山吹から五十嵐さんについて聞いてから、今後のことは考えずに最後の残り少ない高校生活を過ごすことに決め、ただひたすらに遊び呆けた。
そうしているとあっという間に、
高校生活も終りを遂げてしまった。
俺にとって高校とは、
高校という時間こそが人生の全てで、高校が終わればもう人生が終わってしまうのではないかと思うくらい特別なものだった。
ゲームや漫画で生きてきた俺だからこそそう思うのかもしれない。
ゲームや漫画は高校生が主人公物がとても多い。
だからか、今こうして卒業式を終えても、高校生を卒業した実感がまるでない。
きっとこの実感は暫く取れないのだろうと思った。
「柊。」
背後から見ずとも分かるくらいダルそうな声で俺の名前を呼ぶ。もう振り返らずとも声の主が誰か分かる
「山吹先生。」
俺は振り返ってにっこりと笑顔で声の主の名前を呼んだ。
「卒業、おめっとさん。」
声はダルそうなのにどこか悲しさを帯びながらも笑顔でそう言う山吹。
3年間ずっと嫌いだ、苦手だ、と思っていたけど、当たり前のように顔を合わせていた日々がなくなると思うと少し寂しいものがあった。
「ありがとうございます。....山吹先生、3年間お世話になりました。」
山吹に、初めて心を込めてお礼を言い、頭を下げた。
「あぁ、こちらこそ。.....ほれ。」
下げていた頭を上げて山吹を見ると、山吹の手には俺が昔、山吹に取り上げられたゲーム機が握られていた。
「え?これ、俺のゲーム機..?」
俺は目をパチクリしながらゲーム機と山吹の顔を交互に見る。そんな俺を見て山吹は笑いながら言った
「おう、卒業したからな。会社には、ゲーム機持ち込むなよ?」
3年間もの間俺は、山吹という先生のことが嫌いで苦手で仕方なかった。
ゲーム機を取り上げられた時、俺が持ってきたのが悪いが、返さないなんておかしいだろう、と。他にも、何かとうるさいし、妙に威圧感あるから、はむかえないし。
だけど、それは逃げに過ぎなかったのだ。
高校3年間俺は、気に食わない奴とは出来る限り関わらないように、面倒なことからは避け、人のせいにして、自分のしたいように生きていた。
だけど、それがどうだ?
山吹という人間は嫌なやつだ、怖いやつだ、と逃げて。本当は、決めつけていただけで、山吹という人間を見ていなかっただけだ。
面倒くさがりだったり、やる気がない人だとは思うけど、不器用で、俺が今まで思っていたような嫌なやつでも怖いやつでもないんだ。
最後になってそんなことに気付くとはな。いや、どこかで分かっていたのかもしれない。山吹は嫌なやつでもなんでもないこと、俺はいつも逃げていたということを。
「はい、気を付けます」
苦笑いしながらゲーム機を受け取る。
「先生、」
俺は、受け取ったゲーム機を見ながらまだ俺の方を向いている先生を呼び、言葉を続けた
「..暇でお金があったら、会社に遊びに来てくださいね!」
俺はゲーム機から目を離して、山吹先生の目を見て本心で、本当の笑顔でそう言った。山吹先生は間もなく「おうよ」と笑顔で言ってくれた。
そうして俺は、高校を卒業した。
そうしているとあっという間に、
高校生活も終りを遂げてしまった。
俺にとって高校とは、
高校という時間こそが人生の全てで、高校が終わればもう人生が終わってしまうのではないかと思うくらい特別なものだった。
ゲームや漫画で生きてきた俺だからこそそう思うのかもしれない。
ゲームや漫画は高校生が主人公物がとても多い。
だからか、今こうして卒業式を終えても、高校生を卒業した実感がまるでない。
きっとこの実感は暫く取れないのだろうと思った。
「柊。」
背後から見ずとも分かるくらいダルそうな声で俺の名前を呼ぶ。もう振り返らずとも声の主が誰か分かる
「山吹先生。」
俺は振り返ってにっこりと笑顔で声の主の名前を呼んだ。
「卒業、おめっとさん。」
声はダルそうなのにどこか悲しさを帯びながらも笑顔でそう言う山吹。
3年間ずっと嫌いだ、苦手だ、と思っていたけど、当たり前のように顔を合わせていた日々がなくなると思うと少し寂しいものがあった。
「ありがとうございます。....山吹先生、3年間お世話になりました。」
山吹に、初めて心を込めてお礼を言い、頭を下げた。
「あぁ、こちらこそ。.....ほれ。」
下げていた頭を上げて山吹を見ると、山吹の手には俺が昔、山吹に取り上げられたゲーム機が握られていた。
「え?これ、俺のゲーム機..?」
俺は目をパチクリしながらゲーム機と山吹の顔を交互に見る。そんな俺を見て山吹は笑いながら言った
「おう、卒業したからな。会社には、ゲーム機持ち込むなよ?」
3年間もの間俺は、山吹という先生のことが嫌いで苦手で仕方なかった。
ゲーム機を取り上げられた時、俺が持ってきたのが悪いが、返さないなんておかしいだろう、と。他にも、何かとうるさいし、妙に威圧感あるから、はむかえないし。
だけど、それは逃げに過ぎなかったのだ。
高校3年間俺は、気に食わない奴とは出来る限り関わらないように、面倒なことからは避け、人のせいにして、自分のしたいように生きていた。
だけど、それがどうだ?
山吹という人間は嫌なやつだ、怖いやつだ、と逃げて。本当は、決めつけていただけで、山吹という人間を見ていなかっただけだ。
面倒くさがりだったり、やる気がない人だとは思うけど、不器用で、俺が今まで思っていたような嫌なやつでも怖いやつでもないんだ。
最後になってそんなことに気付くとはな。いや、どこかで分かっていたのかもしれない。山吹は嫌なやつでもなんでもないこと、俺はいつも逃げていたということを。
「はい、気を付けます」
苦笑いしながらゲーム機を受け取る。
「先生、」
俺は、受け取ったゲーム機を見ながらまだ俺の方を向いている先生を呼び、言葉を続けた
「..暇でお金があったら、会社に遊びに来てくださいね!」
俺はゲーム機から目を離して、山吹先生の目を見て本心で、本当の笑顔でそう言った。山吹先生は間もなく「おうよ」と笑顔で言ってくれた。
そうして俺は、高校を卒業した。