君と一緒がいい
ーあいつは今どこにいるのだろう。
冷たい雨は勢いを増す。
彼女は俯いて歩き続ける。
街の煌々とした明かりは一人歩く彼女を寂しそうに照らし続けている。
ふと、顔を上げてみた。
その目に映った世界はとても貧相で霞んで見えた。
彼女はそんな街を嘲笑うかのように目を細めて視線を路地裏に向けた。
路地裏では街にはじき出されたホームレスたちが寒さを凌ぐように固まっていて、彼女にはその光景が薄汚いゴミのように見えていた。
ー帰ろう。
彼女は来た道を歩きはじめた。