偽王子と嘘少女
でも、私はこの店に入ったことがない。
確かに、人に好かれるためには彼のように形から入ろうとも思う。
だけれど、私は休日に出かけるなんてことあまりないから、おしゃれする必要もない。
こんな私で、参考になるのだろうか。
不安に思いつつ、藤堂くんと一緒にこの店に入った。
中に入ると、それはそれはたくさんの洋服がずらりと並んでいる。
1枚1枚がどれもおしゃれで、可愛いものも格好良いものも、いいろいろな種類があることが分かる。
「いらっしゃいませー! お二人ともお綺麗ですね。カップルさんですか?」
適当に店の中を歩きながら見ていると、店員さんが話しかけてきた。