偽王子と嘘少女


「あっ、は…はい。いや、どうも」


藤堂くんが、テンパリつつもきちんと受け答えをする。


初対面の人とうまく話せないところは私と同じなんだなぁ、となんだか微笑ましいが、そこはちゃんと否定してほしい。


「本日は、何をお買い求めで?」


「あ、えっと…に、人気商品といいますか、その…」


さすがに、私と付き合っていると思われている以上、モテたいためにここへ来たとは言いづらいらしい。


「ちょっと待っていて下さいねー」


店員さんは、藤堂くんの要望を受け、奥へと品物を探しに行った。


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