偽王子と嘘少女
「やっぱりそうだ! 柊さんでしょ?」
私としては何度も会っているからあまり新鮮さはないけれど、彼にとっては卒業ぶりの再会だからか、懐かしさと喜びが入り混じった声を出している。
私だって、紫水くんのこんな笑顔をまじまじと見るのは初めてだから、同じくらい、いやそれ以上に嬉しい。
とりあえず、学校モードのときのような派手な服装でなくてよかった。
「ど、ど、どうしたの…こんな、ところで」
やばい…心の中では『紫水くん』『紫水くん』言っていたくせに、現実世界ではあまり話したことなかった。
そのせいで、なんだかテンパったときの藤堂くんみたいになってしまった。