偽王子と嘘少女


「俺? 俺は、ほしい本があってさ」


そう言って見せてくれたのは、分厚い参考書。


「やっぱり、高校の勉強って難しいね」


苦く笑う紫水くんでさえ、胸がときめいてしまう私は、きっとかなりの重症に違いない。






忍side


「ありがとうございましたー!」


明るい店員さんにラッピングされた袋をもらい、店から出る。


柊を探すために、歩き始めて数分間。


もちろん、見つかるはずもない。


< 118 / 273 >

この作品をシェア

pagetop