偽王子と嘘少女
だいたい、柊の趣味や興味も分からないのに、行きたいところなんて分かるわけがなかった。
ああ…どうしてあのとき『待ってろ』と言えなかったのだろう。
すごく短い言葉なのに、後になってから後悔してしまう。
これは、俺の悪いところだ。
はあ、とため息を吐きながら、そんなことをぼんやりと考えていると、景色上に柊の姿が目に映る。
なにやら、男と一緒にいる様子。
誰だ、あいつは…。
彼氏?
いや、柊には好きな人がいたっけ。