偽王子と嘘少女


ということは、ナンパ!?


いや、相手は1人だし、ひ弱そうだ。


到底、そんな度胸があるようには思えない。


だけど、あの柊の引きつった笑顔。


急に悪くなった滑舌。


これを見れば、柊が緊張しているということが一目瞭然。


緊張する理由なんて、ひとつしかない。


相手が初対面の人間だからだ。


た、助けに行かねば…!


頭では真っ先に思うのに、足がすくんでしまう。


勇気が足りないのだろうか。


好きな人に釣り合うように格好良い男になろうって懸命に努力したことも、結局は勇気がなければ意味がないということ…?


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