偽王子と嘘少女
「藤堂くんとは、そんな関係じゃないよ」
「えー! なんだ、つまんなーい」
希子は私に何を言わせたいのか。
笑いながら考える。
でも本当に、恋とか好きとかなんて、きっと私たちからじゃ生まれない。
ただの秘密共有者。
それだけなんだから。
それより今はもっと大切なことがある。
紫水くんに誤解を解かなきゃ!
私が藤堂くんと付き合っているなんてことを本気にされたら、もしかしたら私のほうへ動いているかもしれない紫水くんの心が、これまでの努力が、全て無駄になってしまう。