偽王子と嘘少女
彼女…?
そうであってもなくても、紫水くんの笑顔が誰かの特定の人に向けられていると言う事実が、私の胸を強く締め付けた。
なんだ…。
ずっと片思いしてきて、もしかしたら少しでもこの思いが届いているんじゃないかって思っていた私が馬鹿みたいだ。
私には私、紫水くんには紫水くんの日常がある。
私に好きな人が居るように、彼にも好きな人がいるのだ。
それはものすごく普通で、自然なこと。
誰も何も悪くないのに、心のどこかで傷ついているこの思いは、このイライラは、どこにぶつければいい?
答えなんか見つかるはずもなく、1人ただ小さくなってゆく。
ねえ…誰か、教えてください。
どうしたら、恋は実るのでしょうか。