偽王子と嘘少女
「あ! おかえりー、かぐや! どう、上手く出来た?」
希子の笑顔も、今の私にとっては眩しすぎるくらい。
「ううん、話しかけることすら出来なかったよ…。せっかく、応援してくれたのにごめんね」
謝ると同時に、またぶらぶらと歩き出す。
そして、さっき見てしまったものを説明した。
「へえ、それは辛いね。彼女かな?」
「唐突に言わないでよ…今も泣きそうなんだから」
「あは、ごめんごめん」
笑いながら謝る希子。
絶対、悪いって思ってないでしょ!
なんて、普段なら突っ込んでいるところだけど、今の私にはそんな余裕なんてなかった。